トップスのチョコレートケーキ。

昔からあるトップスのチョコレートケーキ。
初めて食べたのは、中学生の頃だった。
お菓子の話をしていたら、センスのいいクラスメイトが
「トップスのチョコレートケーキって知ってる?最高だよ」
と教えてくれた。
その週末、母と出かけたデパートで、偶然、直営店をみつけた。
「お誕生日じゃないけれど買ってください。お願い!」
わたしはめずらしく、母におねだりした。
初めて口にしたその味は、ホントにとってもものすごく美味しかった。
ふわふわのスポンジ、サンドされているクリームの中には香ばしいクルミ。
チョコレートクリームは、その頃まだ主流だったバタークリームなんかじゃなくて、軽やかでミルキーな生クリームでできていた。
翌日、彼女に興奮気味に報告した。
「トップスのチョコレートケーキ、食べたよ!すっごく美味しかった」
「でしょう。あれ、大好きなんだ。とろけるよねぇ」
「家族みんなおいしいって大喜びだった。でもね、お母さんに『お誕生日ではないのだから特別ね』って言われちゃった」
「ははは、あたしだって、お誕生日とかお客さんがあるときしか買ってもらえないよ」
「へぇ、ミホちゃんちでもそうなの」
彼女の家は、おそらくわたしの家よりお金持ちのはずなのに。
「そりゃそうよ。うちの親ったらね、中学生が甘いものばっかり食べたら、バカになりますよ、だって。だからね、大人になったら、自分のお金で、毎日トップスを食べるんだ。」
彼女はへへへ、と笑った。
きっとそうしようね、とわたしたちは右手と右手で、パチンと約束のタッチをした。
もうかれこれ二昔以上前の話だ。
あの彼女はどうしているだろうか。
自分の子供に、トップスのチョコレートケーキを買ってやっているだろうか。
オトナになって、もっと美味しいチョコレートケーキをいくつも食べたけれど、やっぱりトップスのはほっとする。
ママの手作り風な、優しさを感じる味だからかもしれない。
■Top's / トップス
都内直営店のほか、関東を中心に全国に取扱店あり。
ケーキ宅配センターでお取り寄せ可。

おまけ。
チョコレートケーキを買ったデパ地下でみつけたコブタさん。
ブタの皮でできているんですって!
とびっきりのアジフライ。

アジフライが食べたいね。
と、近所のお魚屋さんへお買い物に行った。
古ぼけたストアーは、昼間でも薄暗い。
シャッターの下りた店々の奥で、裸電球とショーケースの青白い光が、ひっそりとお客を待っていた。
「いらっしゃい。今日は何にしましょうか」
ぼんやりと店番をしていた奥さんが、すっくと立ち上がって笑顔をむけた。
真っ白い割烹着がまぶしい。
「こんにちは。アジフライをしようと思うんだけど」
「とてもいいアジが入っていますよ。今アジはおいしいからねぇ。どのくらいにしましょ?」
ええと、と口ごもっていると、奥さんはさっと夫とわたしを見た。
「大人二人なら、これ一匹で十分ね。フライにしやすいよう、さばいておきましょうかね」
お願いします、というよりはやく、ショーケースの裏側から声がした。
「アジ一匹、あいよッ」
いつも元気のいいご主人だ。今日は姿が見えないから、いないのかと思った。
あっという間に、大きなアジがさばかれた。
お代を払うと、ご主人も出てきて、「まいどありがとうございましたッ」と夫婦で見送ってくれた。
家に帰って、さっそくアジフライにとりかかる。
くるりと巻かれた新聞紙を広げると、分厚い切り身が4切れ。
小骨まできれいに取ってあった。
土曜の昼下がり、夫と並んでキッチンに立つ。
わたしが衣をつけて、夫が揚げる。
「アジフライ定食にしてね」という夫のリクエストに応えて、千切りキャベツ、きゅうりのぬか漬け、しじみのお味噌汁を用意した。
「いただきまーす」
サクッ、ふわっ、ほろっ、ジューシー!
アジフライから、肉汁ならぬ魚汁が染み出る。
ほんのりした甘さがあり、その奥にアジの旨みが深々と横たわる。
「おいしいねぇ」「ほんとにねぇ」
いっしょに揚げたおナスのフライも、とても美味しかった。
サクサク衣の中から、とろりと甘いおナスの果肉が現れる。
アジフライ好きの夫、ナスフライ好きの妻。
ふたりとも唸りっぱなしの満腹お昼ご飯だった。
☆お昼のお献立;
アジフライ定食(アジフライ・お茄子のフライ)、きゅうりのぬか漬け、シジミのお味噌汁、寒天のお酢の物。





