正月二日の口福。

正月二日のおいしいもの、ひとつめは、福砂屋のカステラ。
そのこっくりとした黄色は、まるで家路を誘う夕方の太陽のよう。
食べる前から、幸せな気持ちにしてくれます。
ふんわり且つしっとりした生地は、少々のことではへこたれない、タフさが身上。
フォークでも楊枝でも、お茶でも珈琲でも、赤ちゃんでも老人でも、やさしく受け止めてくれます。
底に敷き詰められたザラメは、長崎生まれの証。
シャリシャリ、小気味よいリズムを刻みます。
華奢でも豪奢でもなく、ひたすら素朴で単純なのに、こんなにあったかい気持ちになるお菓子が他にあるでしょうか。
美味しくて、楽しくて、元気になる。
カステラに惚れ直したお正月です。
もうひとつの口福は、すき焼き。
鉄鍋を熱し、牛脂をつるつる撫で溶かしたら、めくるめく予感に、はらぺこ虫も踊りだす。

反物みたいに美しいお肉を、ジューッと並べ、

さらさらと割り下を注ぎ、

甘辛い匂いがふつふつと湧き上がり、

くつくつふるふる、お肉が揺れたら、

表裏を返して、

素早く、味をなじませて、

さあ、ちょうどいい頃よ!
するりと卵にくぐらせて、はらりふるり、とろりと召し上がれ。
あまりに美味しくて、すっかり夢中になっていたら、食卓の脇で動きあり。
必死の形相で、アピールしてます。

「オレもオレもーっ!!」
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