江戸の洒落心、おかめうどん。

我が家はこの時期になると、おかめうどん(おかめそば)を食べたくなるらしい。
正確に言うと、「食べたくなる」よりは、「作りたくなる」だけど。
調べてみたら、おととしの今頃も食べていました。
我が家では、かまぼこのほか、伊達巻を入れます。
おつゆをたっぷり吸って、ふかふかに膨らんだ伊達巻は、これが正しい伊達巻の食べ方に違いない!と思うくらい美味しい。
それはともかく、おかめさんをもって、ありがたくいただいたお正月食材とお別れです。
さて、おかめうどんとは本来、おかめさんの顔に見立てて、かまぼこなどの具を配置したもの。
関東ではうどんより蕎麦、「おかめそば」の方が一般的だと思います。
このおかめそば、由来を調べるとなかなかおもしろい。
そもそもは、落語「時うどん」に出てくる「しっぽく」ではないか、という説があります。
しっぽく(卓袱)は、大皿にもられたうどんに、いろいろな具を乗せたもの。
それが江戸に伝わり、幕末の頃、下谷七軒(台東区根岸)にあった蕎麦屋、大田庵が「おかめそば」を考案したといわれています。
かまぼこ、なると、松茸(当時は安かったらしい)、焼麩 、ゆば、筍、三つ葉などで、おかめさんの顔を描いたもので、大変人気があったようです。
上方落語「時うどん(刻うどん)」も、江戸へ来て姿を変えます。
すなわち明治時代に、三代目柳家小さんが上方落語の演目「時うどん」を、江戸落語の噺として移植し、「時そば」になったといわれています。
時が流れ、今ではおかめさんの顔に見立てていなくても、かまぼことちょっとした具がのっていれば、おかめそば・おかめうどん、と呼ばれています。
天ぷらそばなどと比べると、失礼ながら少々格下のイメージ。
ところがどっこい、そのシンプルなおかめさんに、うどんのように長いストーリーがあったとは!
考えてみれば、おかめ(阿亀)は、おたふく(阿多福)と同義語。
鼻が低く頬がふくよかな、あまり器量のよろしくない女の顔をいうわけですが、昔は福を呼ぶ顔とされていました。
おかめそばは、その名の通り、実に長いこと人々に愛されてきたわけです。
こんどお蕎麦屋さんにいったら、
「ねえねえ、知ってる?おかめそばってすごいのよー」
と連れに薀蓄をたれてみたいものです。
そんな品のよろしくない所作は、おかめさんが眉をひそめて、福を呼ぶどころか逃がしちゃうかもしれませんね。
☆1月9日のお献立;
おかめうどん、夫は晩酌セット付き{鮭の西京焼き・冷奴}、おみかん。
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